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接続助詞の「が」が多い文が読みにくい

Wikipediaで適当な項目を調べ、文中のリンクからまた別の項目を読んでいくことが好きな人は結構いると思います。個人的にはネタバレ上等で創作物の項目も見てしまいます。さておき、そんなWikipediaで気になるのが下記のような文。実際の文から固有名詞をアルファベットにしたり、冗長な部分を削ったりと加工しています。

ABCを攻撃しようとするが、BCを拘束しAを従わせようとしたが、Dに阻止されたものの、巨大化し、Aを力づくで手に入れようとするが、Aを強制送還させられた後、一人残らず始末しようとするが、Aが自らの意思で戻り、Aによって倒され、どこかへ逃げた。 

一文の長さもさることながら、「が」で接続している部分が4つあります。これが中々読みづらい。Wikipediaの例に限らず、文中に「が」が複数用いられたものはネットだろうと実生活だろうと散見されます。ということで、何故読みづらいのかを適当に調べて書きます。

 

・対象は接続助詞の「が」

「が」と言ってもいくつか種類があります。例えば「私が山田です」のような「が」は格助詞であり、今回は扱う対象ではありません。その他「が」には種類が多々あるのですが割愛。問題は接続助詞の「が」です。接続助詞は用言や用言に準ずるものに付いて、下にくる用言や用言に準ずるものに続け、前後の文・文節との意味上の関係を示します(大辞泉の受け売り)。「が」以外にも「ば」「けれど」「のに」「から」などが存在します。

 

・接続助詞「が」の用法

コトバンク(というかそこの大辞泉)によると以下の3つがあるそうです。

1 単に前の句をあとの句へつなぐ意を表す。「すみませんが、しばらくお待ちください」
「御むすめのはらに女君二人男君一人おはせし―、この君たちみな大人び給ひて」〈大鏡・道隆〉
2 相反する句をつなげる。けれども。「昼は暖かいが、夜はまだまだ寒い」「走りつづけたが、間に合わなかった」
「昔より多くの白拍子(しらびゃうし)ありし―、かかる舞はいまだ見ず」〈平家・一〉
3 (推量の助動詞に付いて)それに拘束されない意を表す。「行こうが行くまいが、君の勝手だ」

が(ガ)とは - コトバンク

3に関しては推量の助動詞に付く点からも見分けが容易なため棚上げ。1と2について扱います。1はいわゆる単純接続、2は逆接です。1と2の区別は、逆接のみで用いる接続詞「しかし」に置き換えて意味が通るかでわかります。意味が通れば逆接、通らねば単純接続となります。たぶん。

 

・で、何故読みづらい?

用法が複数あるため、登場頻度が高くなりがちです。多用の結果、一文で単純接続の「が」や逆接の「が」が共に存在すると、一方の「が」の意味に引っ張られて文の把握が困難になります。また、仮にどちらかの意味で統一して用いられていても問題は残ります。接続助詞全般に言える話で、逆接の連続は話が七転八倒したものと化し、単純接続の連続は延々と話を継ぎ足せるので冗長で要点が掴めない文となります。日本語はどんどん繋げて情報を増やせるのが特徴とどこぞで聞きましたが、長けりゃいいってものでもなく。

 

・ということで

 一文に「が」を沢山遣うのは避けたほうがいい。それだけ。ついでに言うと「が」は逆接の印象が強く、そっちに引っ張られるので用法としても単純接続「が」は控えたほうがいいかもしれません。

(と書きつつもこの記事で単純接続の「が」を使っては代替表現を模索することが幾回。単純接続の「が」、同様に単純接続と逆接の意味を持つ「けど」は至極便利です。)