死なない程度に頑張ろう

眼鏡が無駄に考えたり考えなかったり

卓球経験者として福原愛とイン・ハンの試合に文句を言う人へ文句を言いたい

中高の部活でやってた程度の人間なのですが、少々立腹したので書いておきます。

 

さて、日本時間の本日に行われたリオオリンピック卓球女子団体の日本対ドイツは第5試合で福原愛がイン・ハンに敗れたことで日本は敗退となりました。件の福原愛とイン・ハンの試合は第5ゲームまでもつれ込み、決勝点はエッジボールでした。このことに関して、

・エッジボールで謝らないのはおかしい

・(イン・ハンがカットマンなことに対して)カットマンは嫌い

・(ドイツの面子について)中国からの帰化選手は卑怯

等のツイートが散見されました。以上の3つについて少し述べます。

 

  1. エッジボールで謝るのはあくまでも暗黙のルール
    卓球ではエッジボールやネットインはごく当たり前に発生します。今回のようにカットマンがいると打ち合いが長くなる分なおさら多いものです。一応、エッジボールやネットインでの得点は運要素によるものが大きいため、その際は謝ることが多いです。「多いです」程度の暗黙のルールです。別に謝らなくたっていいのであってそこに強制される筋合いは存在しません。そもそも、今回は両チームの命運がかかった第5試合の第5ゲーム、9-10からの得点です。エッジボールであってもまずは勝利の喜びが訪れるでしょうし、映像外で謝っている可能性も大いにありますから責めるには時期尚早です。更にはこのことに関してイン・ハンが中国人だからだ、日本との対応の差だと安易にお国柄にまで結びつけるのはもっての外だと言いましょう。

  2. カットマンという戦型
    卓球には様々な戦型があります。パッと浮かぶだけでもドライブ主戦型、前陣速攻型、カット主戦型など。その中でも、カット主戦型は通称カットマンと呼ばれ、カットという下回転レシーブで相手のミスやチャンスボールを誘うことを主とします。カットマンは持久戦に持ち込み相手のミスを待つという点からヘイトを集めやすいものではありますが、攻撃をいなし守り抜いて勝つ立派な戦型の一つです。日本においても、リオオリンピック卓球の解説者の一人である松下浩二いう方は現役時代にカットマンの鉄人として名を馳せていました。守備と持久戦に長けているという特徴から、スーパープレイととして動画再生を集めるような脅威の粘りと逆転勝ちを見せることもあります。ただ嫌いの一言で片付けず、攻撃だけではない戦型、ひいては戦型の多様性が生み出すプレイとその奥深さを知って欲しいものです。

  3. 帰化選手は日本にも
    その国出身の人ではないということから、そして中国出身というところから帰化選手への不満が出ています。しかしながら、中国の帰化選手自体は日本にもいます。吉田海偉は世界卓球団体で3位やシングルスでベスト8に進出した方ですし、若い世代には張本智和というU-15で2位の方もいます。仮にこのような日本の帰化選手が活躍した際に、彼らはどう反応するのでしょうか。そもそも、帰化であってもイン・ハンは世界ランク7位の猛者ですし、帰化という一点で叩いていいものではないと考えています。そもそもドイツ自体帰化を抜きにしても卓球の強豪国ですし。

とりあえず勢いに任せて書いてみました。なんと言いますか、エッジボールで敗北した途端に、相手選手やチームの諸要素、国民性にまで敷衍して非難しにかかる姿勢はあまりに単純ではないでしょうか。

 

追記(17日1:36)

3位決定戦の相手のシンガポールでも中国からの帰化選手だと騒がれていますがすが、もとより華僑と華人の国ですし、帰化だと騒ぐには少々無理があるかもしれません。何はともあれ日本女子団体銅メダル獲得おめでとうございます。